
加齢とともに気になりだす中年独特の青臭く脂っぽい臭い、「加齢臭」。加齢臭とはいったい何なのか、どこからやってくるのか、そのメカニズムを詳しく見ていきましょう。
目次
加齢臭の原因
加齢臭の原因とメカニズム
加齢臭がどこからにおうのかを知るにあたり、まず原因とメカニズムからご説明します。
私たちの皮膚は、皮脂腺から分泌される皮脂によりうるおいを保ち、外部の刺激から守られています。しかし、加齢とともに、皮脂腺の中に含まれるパルミトレイン酸という脂肪酸が増加、さらには酸化した脂質=過酸化脂質が増加します。加齢臭の原因物質は2-ノネナールと言い、これは加齢によって増加したパルミトレイン酸と過酸化脂質が結合し分解することによって生じます。ノネナールは青臭く、脂臭いのが特徴で、これは熟成したビールとソバの芳香成分でもあります。
加齢臭はどこからにおう?①皮脂腺
加齢臭はどこからにおうのか?皮脂腺が多い部分から多く発生します。具体的には胸や背中などの体幹部、頭皮や耳の後ろ、首の後ろ、わき、顔のTゾーンなどです。特に頭皮は皮脂腺が多く臭いも強く感じられ、枕の臭いが気になることも。そして自分では気づきにくいのが胸や背中からの臭い。この部位も皮脂腺が多いうえに、手が届きにくく皮脂が溜まりやすいこともあり、臭いが生じやすい部分です。
加齢臭はどこからにおう?②生活習慣も原因に
ノネナールを生み出す過酸化脂質の増加は、活性酸素が増えることが原因です。活性酸素とは、ほかの物質を酸化させる力が非常に強い酸素のことで、これが体内の不飽和脂肪酸と結びついて過酸化脂質を作ります。ですから、活性酸素を増やす生活習慣は加齢臭を生じさせるひとつの原因と言えるでしょう。活性酸素を増やす生活習慣には、喫煙や過度の飲酒、ストレス、激しい運動、肉中心の食生活などがあげられます。
加齢臭がどこからにおうのかを詳しく説明したこちらの記事も参考にしてみてください。
男性の加齢臭
加齢臭と言えば、一般的に、中高年男性から発せられる嫌な臭いというイメージがあるのではないでしょうか。女性の場合、女性ホルモンにより皮脂の分泌が抑えられています。これに比べて男性は加齢とともに皮脂の分泌量が多くなります。また、喫煙や仕事のストレスなど、男性は活性酸素を増やす生活習慣におちいる傾向があるため、女性より加齢臭が強くなってしまうのです。
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女性の加齢臭
男性同様、女性も加齢にともない加齢臭が発生しやすくなりますが、女性は、女性ホルモンにより皮脂の分泌量が抑えられています。また女性ホルモンは抗酸化作用を持ちます。このため、男性に比べ加齢臭の発生が少ないと考えられます。しかし50歳前後、閉経の時期を迎えると女性ホルモンが減少し、逆に男性ホルモンが増加します。そのため、皮脂の分泌量が増え加齢臭が発生しやすくなります。
20代30代の加齢臭
若い世代に増えている加齢臭とは?
加齢臭の原因はパルミトレイン酸と過酸化脂質の結合・分解によるノネナールの発生によるものだということをここまで解説してきました。加齢とともに原因物質の分泌が増加しますので、加齢臭は40代以降の中高年に多く見られる体臭ということになりますが、最近、20代30代の加齢臭が増えているのです。これを若年性加齢臭と言います。
若年性加齢臭の原因
若い世代ではパルミトレイン酸の分泌が少なく、また体の抗酸化作用も強いため過酸化脂質の発生が抑えられています。ところが、本来十分に備わっているはずの抗酸化作用がなんらかの理由で衰えることにより、20代30代の若者でも中高年と同じように加齢臭が発生するのです。抗酸化作用が衰えるということは、体の老化が進んでいるということ。これは生活習慣にも原因があるようです。喫煙やストレス、乱れた食生活を続けているなど、老化をうながす生活習慣により、体が酸化してしまうのです。
加齢臭はどこからにおう?まとめ
加齢臭は中高年男性だけでなく女性にも発生するということや、20代30代の若者にも見られるということがおわかりいただけたでしょうか。加齢臭は体の抗酸化作用の衰えにより発生するものです。加齢により体が老化していくのは自然なこと。しかし体を酸化させない生活習慣により、加齢臭を少しでも減らす工夫はできそうです。また、頭皮や胸、背中など、臭いが生じやすい部分を清潔に保つことも加齢臭予防に効果がありそうです。